それでも迷ってしまうあなたへ


このサイトを見ているあなたは転職すべきでしょう。


前のページで断言しました。そして、会社に退職を切り出す「」に、腹を括れと書きました。

このスタンスは、私がリアルな友人から相談を受けた場合も同じです。とはいえ、

「この転職に迷いはないはずだったけれど、実際に退職がリアルになると、どうしたら良いのか迷ってしまう」

という声を何度か聞きました。実際、ほとんどの人はそこまで強くないので、最初に決断した通りに突き進むことができる人は極少数だと思います。

そんな迷えるあなたへのヒントとして、私の実体験も踏まえた考え方を紹介しておきます。内定後に転職に関して不安を感じる要因は、大きく分けて2つで「①職場環境」と「②会社の将来性」かと思います。


①職場環境に関する不安

転職というのはトレードオフなので、今の会社に居続けながら、新しい環境で働いてみてから判断する、ということはできません。行った先の環境が自分に合うのか、業務レベルに付いていけるのか、出世はできるのか・・・ストレートに言うと「ブラック企業ではないのか」という点について、不安は尽きないと思います。このサイトをご覧の方は、すでに口コミサイトで情報は仕入れているとは思いますが、良いという声もあれば悪いという声もあったりして、それだけは判断が付かないケースは多いでしょう。いくらやりたいことが転職先でできるといっても、転職先の職場環境が今よりクソだった場合、後悔しても後悔しきれません。

こうした働く環境に関して不安がある場合は、内定後でも問題はないので、人事の人に聞いてみましょう。離職率とか中途採用者の割合とか、本来は面接の段階で聞いておくのがベストですが、内定後でも全く問題ありません。むしろ、よい会社であれば、内定者の不安を取り除くため、丁寧に対応してくれるでしょう。また、職場見学や、同僚となる予定の社員との面談時間の設定などもお願いして良いと思います。「初めての転職なので不安は少しでも取り除いておきたい」といった声に対して、邪険に扱う会社であれば、むしろ入社は見送った方がよいかもしれません。自分の会社・職場が素晴らしいと自信があり、内定者にもしっかりその部分を見て判断してもらいたい、と考える人事担当であれば、快く応じてくれるでしょうし、むしろそういう会社であれば、人を大切に扱う文化があり、安心して入社してもよいと思います。

聞きたいことは全て聞いて、職場の空気を肌で感じることができた上で、今よりそこの職場の方が働きやすそうだ、と感じることができれば、後は覚悟だけです。


②会社の将来性に関する不安

会社の将来性は未来のことだけに、誰にもわかりません。今の会社に将来性がないと思ったので転職を考えたという人も多いと思いますが、今働く会社の行く末はある程度見えても、転職先の会社の未来はなかなか見えずらいと思います。とはいえ、考えるヒントはいくつかあります。


(1)中期経営計画

もし「中期経営計画」を開示している会社であれば、それをじっくりと読んでみましょう。そして、そこに書いてあるビジョン、見通しや戦略が腹落ちするかどうかで判断するしかないです。私も仕事柄、色々な会社の中期経営計画書を読んできましたが、市場規模と自社と強みと伸ばす施策や方向性が明確・明解に書いてあるものもあれば、専門用語とキーワードの連呼で、要は「今までの延長線上で頑張る」としか書いていないものもあります。少なくとも、何が書いてあるのか自分の頭で理解できない場合は、少し疑った方がよいかもしれません。


(2)過去の業績

中期経営計画は上場企業であっても開示していない会社の方が多いと思います。中計がない場合は、過去の業績を見てみましょう。M&Aで会社を買う際の見方の一つとして、「未来の事業計画はいくらでも数字を作れるが、過去の実績数字は変えることができない」というものがあります。過去から売上は伸びているのか、赤字にはなっていないか、最低でもこの辺りは見ておくべきでしょう。なお、業績が良い会社が、必ずしも社員にとって良い会社とは限らない、ということは周知の事実ですが、業績が悪い会社の雰囲気は総じて良くないです。


(3)最後は直感

とはいえ、将来性は「未来」のことなので誰にも絶対に分かりません。実際に私の知人で、どうしても法務がしたくて財閥系のメーカーから法務未経験OKの準大手上場企業に転職し、1年でその会社が破綻したことがありました。逆に、大手上場企業から上場ベンチャーに転職し、転職前の会社の規模を上回る成長を遂げ、役員まで上り詰めた人もいます。 

十分調べて「悪くない」と判断できたのであれば、後は「直感」を信じるしかないです。そもそも絶対に将来伸びる会社が分かるのであれば株式投資で大金持ちになれるはずです。何度も書いていますが、未来はわからないのです。なお、よく言われることですが、人の直感とは、運任せの判断ではなく、過去に自分に蓄積されてきた知識・経験から無意識に導き出された「最適解」であることが多いようです。直感を信じることは、博打だと言い切れない面がここにあります。


③それでも判断できない

ここまで長々と書いてきましたが、これらを全て検討した上で、「それでも判断できないのです」、という人もいるでしょう。その気持ち、不安は、よくわかります。とはいえ、ここまで悩んだということは、どちらを選んでも正解だとも言えるので、気楽に考えれば良いと思います。

一つだけ言えるのは、同じ条件ならば「変えない」という選択をするのが一般的だということです。「職場を変える」という行為は多大な労力が必要なので、転職先にこれは絶対に無理だなと思う項目があれば、早々に諦めているはずです。

ですが、それをしなかった。

ということは、変わろうとする「勇気」がないだけなのかもしれません。

起きている時間は全て悩み抜いたのであれば、それは決して無謀な挑戦にはならないはずです。


そして、それにも関わらず退職願を上司に出す勇気が出なかったのであれば、本能的に「自分には今の職場の方が合っている」と判断していることになります。多少の不満を上回るメリットが、今の職場、会社にはあるということです。たとえ給料が少なかったとしても、周りが評価してくれていて、人間関係も悪くないのであれば、そこで頑張るという選択肢は、決して間違いでないでしょう。その本能を信じるのが良いと思います。


なお、転職サイトを読んでいると、内定して迷ったらプロの転職エージェントに相談しよう、というクソみたいなアドバイスが書いてあることがあります。転職させれば数百万円の収入があるエージェントが、転職はやめておいた方がいいよ、というアドバイスをするわけがないではないですか。


転職は、真面目に生きている人ほど人間力が試される試練だと思います。内定後に、どのような決断を下したとしても、決めたのであれば、後は全力で進むだけです。所詮サラリーマンとはいえ、悔いのない人生を歩みたいものですね。



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